取り組みの背景

 商店街の活性化、高齢者支援、子育て支援、子供の健全育成、環境・資源の保全など、社会が抱える問題は様々あり、その現状は深刻化しています。
 これまでそうした問題は、公共サービスとして行政機関が解決にあたり、経済として成り立つものには、民間の事業者が進出してきました。 しかし、近年、人々の多種多様な生き方が広がってきたことにより、公共サービスでも民間サービスでも成り立たない、 その狭間にある社会の問題を解決することが必要となってきました。

 社会問題の解決を目的とした事業をソーシャルビジネスと呼び、そのなかでも地域の抱える課題の解決を目指す事業は 「コミュニティビジネス」と呼ばれています。 コミュニティビジネスは、地域の人材やノウハウ、施設、資金を活用し、地域における新たな創業や雇用の創出、働きがい、生きがいを生み出し、 地域コミュニティの活性化に寄与するものと期待され注目されています。
 コミュニティビジネスの事業主体は、有限会社、NPO法人、協同組合などさまざまな形態がありますが、 最初から事業組織として集まった形態だけではなく、PTA活動を通じて地域の主婦がNPO法人を立ち上げたり、 ビジネスメインの会社が、“コミュニティ”の部分を取り入れるなど、きっかけは様々です。

 コミュニティビジネスは、単に利益を追求するビジネスではなく、無償のボランティア活動でもありません。 「コミュニティ」活動(ボランティア等)だけでは、それを行っている“人”に対して事業がついてまわることが多いため、 その“人”がいなくなったときに、組織として活動を継続することが困難になってしまいます。そのため、この『コミュニティ活動』 に『民間企業並みのビジネスセンス』を取り入れることで、活動を継続でき、“組織”として運営することで安定した活動が出来るようになります。

 しかし、コミュニティビジネスの立ち上げには、起業のノウハウや資金の確保、活動拠点の確保などの問題もあり、 国内では、支援の制度が整っておらず、必要な情報が得られない、外部からの支援が望めない現状もあります。 また、立ち上げたコミュニティビジネスを継続発展させるうえでも、厳しい財政状況や人材不足の問題、 組織マネジメントや経営ノウハウの支援などが必要となり、起業者が強い意志と高い問題解決能力を有していることも重要ですが、 それとともに後方支援として、行政における支援の在り方や地域全体におけるコミュニティビジネス支援の仕組み作りも必要です。

 コミュニティビジネスの考え方が社会全体に浸透することは、より多くの住民がコミュニティビジネスに関心を持つことにつながり、 地域の高齢者や主婦などが参加しやすい『身近な起業』となり、立ち上げを目指すようになり、 コミュニティビジネスの発展とともに地域コミュニティの活性化につながることが期待されます。

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